
12/1(日)
Challenge Laguna Phuket Tri-Festにレース参戦した稲 寛彰選手よりレポートが届きました。
チャレンジ・ファミリーというトライアスロン大会は、世界で13か国21レースが開催されており、ロング・ミドルの距離はIRONMANのフル・70.3と同距離でにわかに人気が出てきています。
アジア圏内では、台湾・タイ(プーケット)に続き来年2月にフィリピンでの開催が決まり、参加費が安くしっかりした大会運営から日本人の参加者も増えつつあります。
日時:2013年12月1日(日)
場所:タイ・プーケット
レースフォーマット:スイム(1.9㎞) バイク(90㎞) ラン(21㎞)
天候:晴れ(レース中、雨は降らず)
気温:摂氏25度
バイク:
KESTREL / LEGEND SL (51cm) 完成重量約7.8㎏(ボトル・スペアタイヤを除く)
ハンドル:デダ・ゼロ100コンパクトホワイト(420㎜)
ステム:デダ・ゼロ100セルビッツイオコルセ31(120㎜)
シートポスト:デダ・スーパーゼロホワイトマットカーボン(31.6㎜)
アタッチメントバー:デダ・パラボリカドウエ31
コンポーネンツ:シマノ・デュラエース7970(メカニカルシフト10段)
フロントギア:シマノ・デュラエース7970(54×39)
リア・スプロケット:シマノ・デュラエース7970(11-27T)
クランク:シマノ・デュラエース7970(170㎜)
ペダル:ルック・ケオブレードカーボン(クロモリアスクル)
サドル:フィジーク・アンタレスバーサス(K:iumレール)
フロント&リアホイール:ジップ808・チューブラー
パワーメーター:サイクルオプス・パワータップSL+
タイヤ:ビットリア・コルサCX(23㎜)
サイクルコンピュータ:サイクルオプス・ジュールGPS
リザルト:総合61位(5:18:04)年代別11位
スイム(0:39:50)
バイク(2:45:39)
ラン(1:49:09)
昨年までアイアンマン70.3として開催されていたハーフのトライアスロンレースが今年からチャレンジシリーズとして開催された。コース、受付会場などは全く昨年と同様(昨年も参加)。
「ロゴ」以外は全く昨年と変わりがなく、レースやレース前後の運営も含めて、しっかりと運営されていた。
個人の参加者は645名。レース前の説明会で日本からの参加者は33名と聞いた。昨年まではアイアンマン70.3でチャンピオンシップのスロット授与などがあり、今年よりも参加者が多く、大会自体もピリピリとした緊張感が高かったと感じた。
チャレンジシリーズとなってからは、レース前など、和気あいあいとした雰囲気もあり、「トライアスロン自体を楽しもう。」という、トライアスロンと言う競技で、チャレンジすることへの原点を思い起こさせられた。
私もそうだが、北半球で寒い冬に突入し、特別なトレーニングを行わず、「バカンス」でこの大会に参加している欧州からの参加者が目立つ。また、今年は、アジアからの参加者が増えた感じがした。
プロカテゴリーの参加者をみても、昨年優勝のクリス・マコーマックや昨年のハワイの王者、ピーター・ジェイコブスも参加しており、南国のバカンス気分だけではなく、シリアスなレースと言う位置づけに変わりはなかった。
<レース展開>
スイムウエーブがスタート制。男子プロ、女子プロとスタートし、エイジの第一グループでスタートを切る。スタート時にはすでに周囲は十分明るく、視界に問題ない。ビーチスタートでまずは海に向かって右回りの3角形コーナーを泳ぐ。男女のプロがスタートし、エイジのスタートを迎える。スイムの練習が十分できていなかったので、2列目に並び、体格の良い欧米選手のパック後方で泳ぐ計画を立てる。
スイム会場のビーチは波が高く、ある程度、沖に出るのに手こずる。ただ、コーナーはやや渋滞するものの、激しいいバトルもなく、スイムの泳力ごとにパックが形成される。
1度、ビーチにあがるため、沖からビーチに向かって3角形の最後の直線を泳ぐが、この時、ちょうどタイミング的にビーチから日が昇っており、完全に視界を奪われ、先の目標物が確認できない。ゴーグルは周囲が暗いと考えていたので、日差し対策のレンズを使用しなかったのが反省点。前を泳ぐ選手を頼りにライン取りをしたが、ロスが多く、最短ラインで泳ぐことが出来なかった。
ビーチに1度上がり、海を背に、ビーチ反対側にあるラグーン(池)に向かって丘のビーチをこなす。ここは観戦ポイントになっており、家族の応援を確認し、ラグーンに飛び込む。
ラグーンのゴールは直線を泳ぎ、反対岸にゴールする。
ラグーンは藻などがたくさん自生しているため、水の透明度は低く、頻繁にヘットアップしながら泳ぐ。
昨年はラグーンのゴール地点で逆流となる水の流れを感じ、今年は警戒していたが、その逆流は感じずスイムアップ。
バイクこの大会の名物はバイクコース。最大勾配17%を超える激坂が3か所あり、最大勾配20%を超える1か所の激坂もこなす。距離は長くないが、計4か所の激坂をクリアしなければならない。バイクの強い選手でも(プロも含めて)、ギア比の設定を間違えると、バイクを押して上る羽目に。ただ、バイクセッティングをトータルで考えて、押して上ることを考慮してセッティングしても、トータルではタイムが良くなることもあるのだが。
昨年
Kestrel 4000 LTDにインナーギア42Tで臨み、激坂はバイクを押してクリアすることになった経験を踏まえ、今年は
Kestrel Legend SLをチョイス。インナーは39Tをセット。
この大会はリピーターの参加者も多いようで、他の参加者もハーフのトライアスロンレースとしては珍しく、ノーマル・ロードレーサーにドロップハンドル+アタッチメントバーといったバイクセッティングが目立った。またヘルメットも同様のトレンドで、TTヘルメットではなく、暑さ対策を思われるが、ノーマルのロードヘルメットを使用する参加者が目立った(私もロードヘルメットを使用)。
また、路面が荒れていることもあり、激坂を考え、ディスクホイールを使用する選手は少なかった。
ちなみに、トッププロである、マコーマックとジェイコブスのバイクはTTバイクに前後ディープリム、インナーギアはかなり小さいものを使用していた。
スイム後、無難にトランジッションを済まし、バイクコースへ。最初は市街地を抜けるコース。幹線道路だけに観戦者も多く、特に学校前を通過する際には学生の大きな声援を受ける。幹線道路では、同一方向にバイクや車両も入ってくるが道幅が広く、さほど気にならない。交差点では警官が交通整理をしており、バークコース全体で交通規制による危険な状況は感じなかった。
バイク・スタート40㎞後にある激坂を警戒し、前半は抑え目にペース配分を行う。途中、バイクを降りて横断歩道で幹線道路を渡らないといけないセクションがあるが、ここが曲者だった。赤いカーペットが斜面にひかれていたのだが、とても滑りやすく、クリ―ト付のバイクシューズで歩くと滑り、上り下りでタイムロス及び疲労する形となってしまった(追い越し禁止区間ではあるが)。ちなみに、私のバイクシューズのクリ―トには滑り止め機能(ゴム)がなく、大きな誤算となった。
気を取り直して、激坂に向けバイクを進める。オフシーズンで体重が絞り込めていない不安があったが、体調は良く、自分のペースで1番目の激坂に突入する。
予想通り、「壁」という表現があてはまる激坂。斜度計はすぐに17%超えを示す。インナー・ロー(27T )を駆使し、ダンシングとシッティングで激坂をクリアする。
その後、激坂を逆方向に行くので非常にタイトな下りコーナーをこなす。油断すると落車する危険性が高い。多くの参加者がロードバイクをベースにしている理由の一つに、この急な下りコーナーを確実にコントロールする目的があるのは間違いない。やはり、今年の参加者で落車し、病院に搬送された選手もいたようだ。
その後、すぐに2番目の激坂に突入。この激坂が最大斜度20%を超える一番きつい激坂。先行する選手でもさすがにこの激坂では、バイクを押して上っている選手が出始める。
路面の悪さとコーナーのグリップを考慮し、タイヤの空気圧は通常より低めに設定したが、さすがに20%の斜度となると、ダンシングでトルクをかけると、タイヤがスリップし、空回りしてしまう。レースでは、まだ雨が降っていないので、比較的グリップは良いはずなのだが。
ダンシング、シッティングを組み合わせ、トルクをうまく前後のタイヤにかけながら、激坂を進む。激坂での攻防は、やはり、バイクを降りず、ローギアでクリアした方がロスが少ないようだ。
2番目の激坂をクリアすると、テクニカルな下りをこなし、しばらく、緩やかなアップダウンの続くコースを進む。このあたりになると、同じ程度の脚力のそろった選手との展開となる。
自分のペースでレースを展開したかったので、周りを気にせず、先頭でペースを刻む。
ここで少し負荷をかけすぎたせいか、3番目の激坂に入ると、珍しく足がつり、踏めなくなる。体力的には問題なかったのだが、両足太ももがつってしまい、シッティングでうまくリズムがつかめない、ダンシングでつった両足をごましかしながら、激坂を進んでいく。ペースが上がらないながら、バイクを降りずに何とかクリア。
つった両足の回復に努めながら、バイクゴール10㎞手前にある最後の激坂に備える。
激坂に突入する前から上りがはじまるのだが、無理せず、上りの最後に現れる17%超えの激坂に備える。これまでの激坂の影響で痛めつけられた両足の状態が予想以上によくない。足がつった状態は良くなったが、最後の激坂はかなりこたえた。何とかバイクを降りずにクリア。
その後、ダウンヒルをこなし、海岸線の平坦路を進み、バイクゴール。
今回、
Legend SLをチョイスしたが、トータルとして良いチョイスだったと振り返っている。
Legend SLの軽量・高剛性は激坂でアドバンテージを発揮し、その後のテクニカルな下りコーナーではヘットチューブの高剛性からもたされる「バイクコントロール性の正確さ」から落車を回避させ、テクニカルな下りの区間でも最大限、攻め込むことが出来た。TTバイクの直進性の高さは求められないが、こうした特別なバイクコースの設定の場合、Legend SLでトライアスロンレースに参戦するのはトータルで考え、ベストであった。 ラントランジッションでソックスを履き、ランシューズに履き替えて、ラン・スタート。一部、泥のぬかるんだ部分を走るため、シューズ内に異物が入った際の不快感を最小限にするため、ソックスを着用。
ラン・コースは1周約10㎞のコースを2周回。一部、ゴルフコース内を走るが、フラットなコースレイアウト。問題は暑さとの闘い。昨年はバイクの途中から大雨となり、ラン1周回目まで雨が降り続いていたので、ランの暑さはさほど気にならなかったが、今年は、太陽の日差しが強い。
走り始めると、足が重い。ランは調子が良いとは言えない状態だったので、自分のペースで走り切ることに集中する。日差しが強く、暑さがこたえる。ラン・スタート後、3㎞の地点あたりまでは、リズムがつかめず、苦しい時間帯が続いた。
その後、タイムより、集中力を切らさぬよう、エイドステーション毎に水分をしっかりと補給し、体を冷やすことに努める。タイムロスになるが、暑さの中、21㎞を走りきる得策と考えた。
徐々に自分のペースをつかみ、最初の1周回を約50分で通過する。2周回目に入る地点では、応援も多く、家族の応援を受け、集中力をます。
さすがに、15㎞を過ぎたあたりから疲れを感じたが、水分補給と体を冷やすことを継続し、最後のゴールに。ゴール前の花道では嬉しさを伴ってゴール。ゴール前で待っていてくれた家族と喜びを確認し、ゴール。
ゴール後、現状のコンディションでやれることはやれたという充実感があった。
今年はレース中に雨も降らず、暑さの厳しいレースとなったが、熱帯雨林の南国の中で自然豊かなダイナミックなトライアスロンレースを体験することが出来た。
今後は、冬場のオフシーズンにマラソン、バイク競技に参戦し、競技テクニックを磨き、年明けにデュアスロンレースに参戦し刺激を入れ、4月の宮古島トライアスロンに向けてコンディションを仕上げていく予定である。
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