実戦レースから学ぶことは多くあり、精神面やイレギュラーな場面に遭遇した時の対処法などに触れながら、「教訓」という言葉でバイクパートについてまとめてみました。
まずは乗り手と機材のカラーリング合わせることを念頭にバイクに付属するパーツのカラー選択に注力した結果がこれ。ボトルやバイクシューズまでカラーを合わせればなお良しであるが、全体的な統一感は出せたと思う。
教訓①自分は活かしている、こんなカッコいいスタイルなんだから必ず俺はやれる、やれるんだと自分を鼓舞し、一般的には気持ち悪いという冷めた目で見られることがあるが、レース中はナルシストになることも大事である。バイクコースは、臨界工業地帯1周22.5kmを4周回。往路には180度ターンが5回90度ターンが10回とテクニカルで復路は一直線ではあるが2か所狭路区間がある。

Uターンが多く小回りが利くセッティングを考えるとハンドルがしっかり切れるように、ワイヤーを長めにしハンドルをフレームのセンターに対して、90度近く曲げてもワイヤーが引っ張られてブレーキがかかってしまうことがないようにする必要がある。
バイクの仕様によっては、ハンドルの左右振り幅が狭いモデルもあるため要注意。
教訓②事前にレースコースをイメージし把握することでバイクのセッティングも変わり、実戦に即した練習をポイントで入れることで、本番での最大限のパフォーマンスを引き出すことが出来る。レースには独自のローカルルールが存在する。他のレースがそうであったからこのレースでも大丈夫であるという慣れからくる考えがローカルルールを見逃し、ペナルティによる2分間のペナルティボックスでの待機という非常にもったいなく選手として恥ずかしいことを犯してしまった。
ではどんなペナルティを課せられたのか?
「バイクにはバイクシューズや補給食をあらかじめ取り付けて置くができます。但し地面にはものを置いてはいけない。」と参加要項に記載があるにも拘らず、バイクシューズをバイクの下に置いてしまっていた。
バイク終了後、ペナルティボックスでの2分間の待機は世界戦を目指すなら大きなロスになる。
教訓③スタート合図からゴールラインを過ぎるまでがレースではなく、一歩家を出た瞬間からレースは始まっている。他のレースではできていたからという考えは捨て、このレースではどうなのか。そこをしっかり把握することが重要である。今回のレースはアイアンマン競技規則及び日本トライアスロン連合競技規則に準拠し開催されたが、マーシャルの下した判定に、もし納得がいかない場合は、抗議者が審判長に対してフィニッシュ後「60分以内」に抗議することが出来ると日本トライアスロン連合競技規定第44条(抗議規定)2.(抗議内容と規定)に記載されている。
その後審判長より最終回答があるが、講義の内容によっては書面提出を求めるられることもある。

バイクは4周回。試走が出来ていない場合は、1週目は路面状態やコースを把握することが重要であり、周りの状況を確認しながらの走行となる。
LEGEND SLの漕ぎ出しは軽く、ダンシングからの加速で速度を上げ、シッティングへポジション変更後DHポジションへとスムーズな乗車姿勢の変更、加速が容易であった。
バイクには一切無駄なものは取り付けず、サイクルメーターも外したことで数値的な意識を脳裏から省き、視野を広く感覚を研ぎ澄まし、コースが狭く集団走行となりやすいコース設定上から気持ちを集中させた。
またペナルティを1度課せられたことで2度目のペナルティは即失格となるため、ドラフティングにはより注意を払い周りの選手の動きに気をつけた。
天気が曇りで暑さをあまり感じず、500mlのバイクボトル2本で十分90kmを回りきれる自信があったため、エイドステーションには目もくれず、前へ前へとバイクを進める。
バイク走行中、比較的狭い道幅にも関わらず道の真ん中を走る選手を見かけ、接触事故の危険を感じることが数回あった。
教訓④キープレフトが基本であり、後ろからくる選手の妨げになったり前に出れないことで後ろに付き、ドラフティングとなる可能性もあることから、「左に寄って下さい」や「右 抜きます」など声掛けが必要でお互いの安全走行を促す行為が求められる。
週を追うごとにコースの状態が頭に入り、飛ばすポイント、速度を落としてコーナーリングを行う箇所、グレーチングの上を走る時のスリップ注意と加速減速のリズムも出てくる。
ドロップハンドルの上ハンを持つ乗車姿勢は安定感があり、コーナーリングやダンシングとも安心できたが、DHポジションとなった時リーチが少し長く、サドルをめい一杯前にしたセッティングにしていたが、この感じならステムを1サイズ短めにするべきであった。
教訓⑤バイクのセッティングは、レースの3か月前には手に入れて走りなれるのが基本。最低でも1か月の期間は必要であるが、出来上がったのがレースの1週間前ではポジションが出せない。軽さにより操作性が抜群によく、コーナーリングがスムーズでそこから加速で一気に前に抜け出し、集団走行から抜け出すことが出来たが、そこからの伸びは筋力体力のなさを痛感し、集団に吸収されるということの繰り返し。
バイクを自由に操れる感覚は、ストレスを軽減し、長丁場のレースでは特にそのメリットは大きい。
追い風向かい風の影響をあまり感じない状況下では、TT/トライアスロンバイクのようなエアロフォームにも引けをとらないロードバイクにより、このバイクコースでは十分に役目を果たしてくれたことを実感した。
その証拠にランは、終始同じペースでの走行ができ、当初練習段階で15kmのぺース走を3回、4分15秒/kmでレースを想定した練習を重ねたが、本番では4分8秒と最後まで垂れることなく走り切れたのは、バイクの恩恵が大きいと言わざるを得ない。
また、バイク終了後のペナルティボックスでの2分間待機は、かなり痛手となるがこの期間にストレッチと補給をしっかり行い、バイクからランの脚への切り替えができるよう準備したことが最後まで安定したラン走行に結びついたとも言える。
教訓⑥デメリットをメリットに切り替えるポジティブな発想がさらなるパフォーマンスの向上につながる。レースを重ねることで多くのことを学べ、3種目の複合競技の特性からそれぞれの種目で全く感じることも異なり、常に自分との闘いのトライアスロンは、いつまでも自分にとって魅力のあるスポーツであり続けるであろう。